『 むかし むかし ― (1) ― 』
バレエ・パロディ かも・・・
意味不明な個所があったら ごめんなさい〜
シュ −−−−−−−− ・・・・・・ !
その夜 天空を流れ星が横切っていった。
それに気づいた人は ほとんどいず、注意を向けたヒトも少なかった。
どこから来たか そして どこへ行ったのかわからないソレは
そのまま忘れ去られた。
が。 ソレは とんでもないお土産を置いていった。
ぱあ 〜〜〜 ・・・・ カーテンの間からいつもとはちがう光が射した。
「 ・・・ え ・・・・ もう 朝 ・・・・? 」
フランソワーズは枕の上で ちょっとだけアタマを上げた。
「 え ・・・ なんか ヘン ・・・ ねえ ジョー・・・? 」
隣に眠るヒトに伸ばした手は ただリネンの表面を撫でただけだった。
・・・? トイレにでも 行ったのかしら ・・・・
「 何時 ・・? 」
ふぁさ ・・・っと起き上がり ―
え ???? なに
彼女は天蓋つきの豪華な寝台に寝ていた。
シルクとレースをふんだんに使ったカーテンが幾重にもなって下がっている。
「 ・・・ は??? まだ 夢 みてるの わたし ・・ 」
「 姫さま? お目覚めですか 」
レースのカーテンの向こうから 遠慮がちな声が聞こえてきた。
「 ・・・ あ あの ・・・? 」
「 お開けしますですよ〜〜〜 」
「 あ ・・・ は はい 」
慌てて 我が身を眺めれば ― ピンクのシマシマパジャマ ( ← ジョーと
色違い )
だったはずが
ひらひら〜でこでこ〜 レースとリボンとフリル満載の ネグリジェを 纏っているのだ・・・!
うそっ ・・・ こ こんなの 持ってないわよ?
だいたい こんなの洗うの、誰? わたしは パス! だからねっ
こんなの、着て寝れないわよぉ〜〜
「 姫さま?
お召し換えなさいませ。 失礼しますよ
」
外の声は 遠慮がない。
「
え ?
わ … 」
ふわり 〜〜〜〜〜 レースいっぱいの紗の覆いが開く
「 ・・・ ! 」
フランソワーズは 思わずマクラに 突っ伏して 身構えた。
「 姫さま〜〜
あら まだおねむですか でもね ほらほら
もうお起きなさいまし
今日は大切な日でございましょ 」
中年よりまだ年嵩の女性の上半身が ず・・・っと現れた。
「 ほおら・・・・ おっきしましょうね〜〜
ほほほ 乳母やの可愛い大切な姫さま〜〜 ほおら〜〜〜 」
この 乳母さんは かなりの力持ち、 フランソワーズを強引に寝台から引っ張り出した。
わ わわわ ・・・・・
あれぇ ・・・ ゆ 夢?
彼女が引きずりだされたところは 豪華で華麗な居室だった。
天井は高くシャンデリアが煌めき 壁には多彩なゴブラン織りが掛かっている。
そして 足元はふかふかの毛皮がペルシア絨毯の上に敷いてある。
ひえ〜〜〜〜 ・・・・ おとぎ話の中??
・・・ ま〜 ね ・・・
いつかみたいに ヘンなカエルが でてこないだけ マシかもね〜
「 ほらほら お寝間着はもうお終いですよ 」
乳母さんは 彼女をみても ちっとも驚かず、 あまつさえひらひらのネグリジェを
脱がしにかかった。
きゃ〜〜〜 ・・・ あ 下、 着てるのね わたし。
固まっている < おひめさま > をよそに 乳母さんはご機嫌である。
「 まあまあ お寝坊さんな姫さま〜 御着替えなさいませ。
今日は 16歳のお誕生日パーティー ですよ?
異国の王子さまがたが
四人、 求婚にみえてます、 オーロラ姫さま
」
え ・・・ おーろら姫 なの わたし??
・・・
うっそ〜 ・・・・
16って え・・・ !?
わたし 19歳なんですけど??
・・・ ま いっか。
えええ ??
四人の王子ってことは ―
< ローズ >を 踊れっていうの?
プロローグは すっ飛ばしなのね
振り 覚えていたかなあ・・・と 彼女は本気で心配し始めた。
**** いらぬ注
ローズ とは ローズ・アダージオ のこと。
『 眠りの森の美女 』 一幕で踊られるメインの踊り。
オーロラ姫 が 求婚者・四人の王子たちと踊ります。
「 姫さま ピンクのドレス、お持ちしますか あ ・・・・っと
その前に 今朝は湯浴みをなさいませ。
奥の庭園から 薔薇の花びらを籠に山盛り、もってこさせましたからね
薔薇風呂で 磨いていらっしゃいませ。 」
「 ・・・ で アチチュード で プロムナード ・・・ え 何?? 」
「 お湯浴みです。 さあ さあ はやく 」
ぱんぱん・・・と 乳母やさんが手をうつと まだ年若い女の子が
さ・・・っと現れた。
「 姫さま。 どうぞ 」
するり、と白いガウンが肩に掛けられた。
「 え・・・ あ は はい 」
へ ・・・ こ これってもしかして総シルク??
ひえ〜〜〜〜 ・・・ こんなの、一生着れないわあ〜
するすると肌触りのよい白いドレスみたいなガウンを引きずりつつ
彼女は小女の後をついていった。
― さて すこし時間は遡る。
ぱあ 〜〜〜 ・・・・ カーテンの間からいつもとはちがう光が射した。
「 ・・・ う ・・・? な なん だ・・・? 」
ジョーは 半分寝ぼけつつも 反射的に隣へと腕をのばした。
隣には いつもの、いい香のする優しい温かい存在がいる ― はずなのだが。
あ れ ・・? トイレにでも行ったのかなあ ・・・
不審な光は それきりもう差し込んではこない。
「 ・・・ ゆめ・・・ かなあ ・・ もう朝 か・・・? 」
ジョーは もぞり、と起き上がった。
え ????
見慣れた天井は 青空に。 彼女とのベッドは 草原に。
カーテンも窓も 消えていた。
「 な なんだ ??? ここは ・・・ 」
どうも たった今まで彼はこの木陰で微睡んでいた ・・・ らしいのだ。
「 う・・・ いてて・・・ 背中が ・・・ 」
彼は身体をよじってみて びっくり。
「 !?? だって パジャマで フランとお揃いの色違いので
一緒に寝たんだよ?? え〜〜〜 なに これ〜〜〜 」
彼は レースのついた襞々のブラウスを着て スリムな、しかしキンキラした生地の
ズボンのようなものに革のブーツを履いていた。
な なんだよ これ。
・・・ コスプレかい???
― え ・・・?
困惑した彼のアタマに 突然、ある会話が聞こえてきた。
彼自身と 中年の女性の会話 らしいのだが ・・・ なぜか懐かしい気がした。
さあ 王子や。 これでそなたも成人です。
妃を娶り 王位を継ぐのです。
は 母上 ・・・
今宵は そなたの成人の祝いの宴・・・
お友達と楽しんでください。
これは 母からの祝いです。
ありがとうございます。 おお これは
弓矢ですね
そうです。 そなたは狩が好きでしたね
ありがとうございます 母上。
「 !! お 王子 だって??? ・・・ あ あれれ・・? 」
ふわ〜〜〜ん ・・・ 彼の意識はある風景に飛び込んでいった。
豪華な衣装を纏った中年の婦人がジョーに優しい笑顔を向けている。
大きな黒目がちなその方は 若い頃はとびきりの美人であっただろうと思われる。
女王陛下 ・・・ ! 陛下 ・・・
周囲のモノ達は皆 頭を下げ、女性達は腰を折ってお辞儀をしている。
「 明日の祝典には 遠国の姫君を数人、お招きしています。
その中から そなたの花嫁になる方をお選びなさい。 」
「 え ・・・? 」
「 そなたも成人し 妃を持てば 王位を継ぐのです。
ああ 母はこれで肩の荷が下りました。 」
「 は 母上 ・・・ ぼ ぼくはまだ・・・ そのう 結婚は 」
「 なにを言っているの。 美人揃いの花嫁候補の姫君たちに会えば
そんな気持ちはふっとびますよ 」
「 ・・・あ あのう ・・・ 」
「 うふふ 明日の祝典が楽しみね。
さあ 今宵は自由に楽しくお過ごしなさい。
この弓で狩りに行ってもいいかもしれないわね
」
「 は はあ ・・ 」
「 ふふふ 若い人は若いヒト同士 お楽しみなさい。
老人は城にもどります。 」
「 母上 ・・・ 」
「 ジョー ・・・ 愛してますよ、あなたが手をとるのは
どの姫君かしらね 」
「 え あ ・・・ 」
女王陛下、 いや < 母上 > は ジョーの頬にちょん、とキスを
落とすと 皆に見送られゆったりと居城に戻っていった。
は 母上 ・・・ってことは
あのヒトが ぼくの おかあさん ・・・?
! だって じょうおうさま って皆呼んでるよ??
うっそ〜〜〜〜
「 王子さま ? 」
「 ・・・え ・・・ あ なにか 」
ずっと側に控えていた青年が ちょんちょん、とジョーの肩と突いた。
「 最近、 あの湖に白鳥の群れが舞い降りてきている、と聞きました。
陛下から頂いた弓矢を 試してきてはいかが 」
「 あ そ そうだね〜〜 うん ・・・ ちょっと行ってくる 」
か〜〜〜 か〜〜〜〜 西の空が少し茜色になってきた。
「 う うん それじゃ ・・・ 」
ジョーは 弓矢を取ると 城の庭園から駆けだした。
湖に白鳥 だって?
・・・ ってことは〜〜〜〜
もしかしたらその白鳥の親玉は フランかもしれないじゃんか〜〜〜
「 フラン〜〜〜〜 やっと きみに会えるよ〜〜う 」
・・・いかに芸術に疎いジョーであっても 長年フランソワーズと一緒にいれば
『 白鳥の湖 』 くらい知っているのだ。
な なんか わかんないけど。
ど〜も ぼくは メルヘンの世界にいるらしい・・・
いつかの ヘンな女がでてくる夢よか
よっぽどいいよな〜〜〜
フラン〜〜〜〜 今 行くよう〜〜〜
ジョー王子は 勇んで森の中の湖まで やってきた。
「 ・・・ あ いるいる〜〜〜 に〜 し〜 ろ〜 や〜 ・・・
お〜〜 26羽いる! そうか! 日が暮れれば あの鳥さん達、
きっともうすぐニンゲンに 乙女たちに 戻るんだな〜〜〜
よし・・・ ここで待っていよう 」
彼は 木陰に身を隠し、白鳥たちの様子を伺っていた。
白鳥たちは 湖で羽根を休め ぷかぷか浮かんだり 水の中に潜りエサを
食べたりしている。
「 ・・・ ふぁ〜〜〜 ・・・ な なんか 眠くなってきた ・・・ 」
こてん。 彼は木陰で眠りこけてしまった。
ぎゃあ −−−− ぎゃあ −−−−
「 ! な なんだ??? 」
ジョーは跳ね起きた。
凄まじい声、なにかの猛禽類の声が 響き渡る。
「 ・・・ どこだ? 白鳥たちは無事か? 」
ジョーは 弓矢を手に油断なく湖を見渡した。
ザ −−−−−−− !!!!
大きな紫の影が 白鳥たちの群れの上を掠めてゆく。
「 あれは ・・・ ワシか? いやちがうな。 カラス???
それにしてもデカイなあ 大カラスかな 」
ぎゃあ −−−− 〜〜〜〜 !
その鳥は 湖面に急降下 ― 白鳥を狙っているらしい。
「 ちょ・・・ それ 反則だぜ〜 ・・・ えいっ !!! 」
ジョーは 弓を引き絞り ひょう・・・っと矢を放つ。
ザ −−− !!! ぎゃぎゃぎゃ〜〜〜〜〜
矢はでかい紫の鳥の羽根を掠めたようだ。
「 う〜〜〜 外したぁ〜〜〜 弓 なんて初めてだもんなあ
あ 白鳥たちは ・・・ ああ 無事かあ よかった ・・・ 」
ジョーが ほっとしていると ―
ざわざわざわ 水際にかなりの人数の人々が立っていた。
「 え??? 誰? い いつ来たんだ?? 」
「 ― そこの御方。 」
背後から 声が聞こえた。
「 へ??? 」
サイボーグにあるまじきことだが ジョーはびっくり仰天、固まってしまった。
「 そこの凛々しい御方。 ありがとうございました。 」
「 だ だれです? 」
「 わたしは この湖に住まう白鳥たちの長です。 」
「 ! ( やた〜〜〜〜 声がちょっとちがうけど・・・ )
あ!!! オデット姫さん ですか? 」
ジョーは 期待満々〜〜〜 ばっと振り返った ― が。
!? ぎょわ〜〜〜〜〜〜??
彼の目の前には 白い衣装を身につけた ― 青年がひとり。
「 は? おでっと・・?? 」
今度はその人物が 目をぱちくりしている。
「 ・・・あ あ〜〜 いえ その ・・・ すいません、まちがいました。
あのぅ・・・ どなたさんですか? 」
「 私は 白鳥の王子。 この者達を統べるものです。 」
「 は は はくちょうのおうじ??
」
ざざざ ・・・ 彼らの後ろに大勢の青年たちが集まってきている。
ひ え〜〜〜〜 さっきの 白鳥たち ・・・?
ジョーはもう 目ぱちくり・口あんぐり ・・・・
「 そうです。 悪い魔女に誑かされ 昼間は浅ましくも鳥の姿にされてしまいます。 」
「 ・・・ は はあ ・・・・ あ さっきのデカい鳥が 魔女? 」
「 はい。 邪悪な魔女・たまら は 昼間は大カラスの姿をして
我々を見張っているのです。 」
「 あ そ ・・・ 」
「 あやつの魔法を解くためには ワタクシに永遠の愛を誓ってくれるヒトが
現れればいいのですが。
アナタ、永遠の愛を誓ってくれますか 」
「 は??? 」
「 永遠の愛を誓ってくださいますか アナタ。 」
「 あ ・・・ あ〜〜〜〜 ぼくは そのぅ〜〜〜 そっちの趣味は
なくてぇ ・・・ 」
「 そうですか・・・ それはとても残念ですね 」
「 はあ ・・・ 」
「 別の方をまつことにしてみます。 」
「 あ そですか ・・・ あのう〜〜 どこかに姫君はいませんか? 」
「 は?? 」
「 あのぅ〜〜〜 どこかに 囚われの姫君 とか 困っている姫君 とか
いませんか? 」
「 ・・・ う〜〜〜ん ・・・ ? 」
白鳥の王子は腕組みをし、しばらく真剣に考えこんでいた。
「 ・・・あ〜〜 そうだ そうだ。
湖のむこうにあるイバラの森の奥に 秘密の城 があるとききます 」
「 秘密の城?? 」
「 そうです。 なんでも ・・・ もうず〜〜〜っと長い間
眠り続けている姫君がいらっしゃる とか 聞きました 」
「 あ そですか! ありがとうございます。 それじゃ・・・! 」
フラン!!! フランだあ〜〜〜〜〜
眠ってるって 第一世代設定 なんだ!
よし ぼくが起こすよ〜〜〜う
「 いま 行くよ〜〜〜〜〜 ぉ 」
ジョーは 自前の脚で 猛ダッシュ〜〜〜〜〜 して行った。
「 いえ ・・・ ああ もう行ってしまった・・・ 気の早い御人だなあ 」
ザザ ザザザ ・・・ 彼の背後では 26羽の白鳥(♂)が踊っていた。
「 ひぇ〜〜〜〜 ・・・ なんだ これ?? 」
湖の反対側には イバラがぼうぼう繁っている森があった。
「 ・・・げ。 すっげ〜〜 トゲ ・・・ いてっ 」
太い枝に付いたトゲに触り ジョーは飛び上がった。
「 いって〜〜〜〜〜 ・・・ これってホンモノなんだあ?
やっべ〜〜 血が出ちゃったじゃないかあ 」
指の先っぽにぽっちり血がついている。
「 いて〜な〜 ・・・ え? って ぼく、生身なのか??
ふうん ・・・ こんな感覚、久しぶりだよ 」
彼はしばらく指先をしげしげと眺めていた。
「 ・・・ いっけね〜 目的はこの森の奥だよね。
この奥に城があって ― フランが いる ・・・ かも???
だけど ここ・・・ このまま入ったら 血だらけの青春 だぞ? 」
どうしよう 〜〜〜
ジョーは、 いや ジョー王子は イバラの森の前でうろうろ・・・・
見えるはずもない森の奥を なんとか覗こうとしていた。
・・・・ すると。
ガサ ガサ ガサ ・・・ イバラの茂みが揺れている。
「 ? なにかいるのか? ケモノかなあ まさか熊とかじゃないだろうな 」
ジョーは一応 弓を構え陰に潜んだ。
ザザザ −−− 紫色の裳裾を引いたニンゲン、いや 女性が出てきた。
「 ! ひぇ・・・ニンゲン だよ ? 」
ザ。 その女性は立ち止まり ジョーが潜んでいる茂みを見つめた。
「 そこのお若い方。 どうぞ出ていらしてくださいな。 」
明らかに彼女はジョーの存在が わかっているらしい。
ち。 見つかっちまったか ・・・
紫のキモノに 薄紫の髪 ??
・・・ なんか おっかなそうなオバチャンだなあ
「 ― 失礼しました。 あのう どちらサンですか 」
「 あら 名を問うときは自ら先に名乗るものですわ 」
「 ・・・ ぼく いや ワタクシは ジョー といいます。 」
「 まあ ジョー王子さま? 」
「 え いえ ・・・ 王子ではないです 」
「 うふふ ・・・ その服装 ( なり ) から ご身分はすぐにわかります。
湖の向こうにある城の王子さま、 お世継ぎさま ですのね 」
「 え〜と ・・・ まあ そんなモンです あなたは? 」
「 わたくしは ― この衣装の色でお判りになりません? 」
「 ムラサキ おばさん ・・・? 」
「 ( む (怒) ) 紫はリラの色・・・ ワタクシはリラの精です。
たまら と申します 」
「 はあ ・・・ ( リラ ってなんだろ? ) 」
「 あの ね。 リラの精 ですのよ? 」
「 はあ そうですか。 」
リラの精 といえば 『 眠りの森の美女 』 の 善の妖精、妖精たちのトップで
オーロラ姫 に次ぐ役どころなのだが ― バレエに不案内なジョーには
まったく通じない。
「 じゃあ 失礼します。 ぼく このイバラの森の奥に用事があるんで 」
ジョーは ちょっと会釈をして 紫オバサンの前を通り過ぎようとした。
「 ま! ちょ ちょっとお待ちになって。
ワタクシね、 この森を預かっているものなんですの。
ジョー王子さま アナタのご用事はなんですか 」
「 ・・・ ノーコメント。 」
「 はい? 」
「 だから ノーコメント。 」
「 む ( 怒 ) わらわの支配するイバラの森を荒らすつもりかあ 」
紫オバサンは 突然険しい顔になった。
「 ! おっかね〜〜〜 荒らすつもりなんかありませんよ。
奥にある城に眠る姫君に用があるんです。 」
〜〜〜〜 ここを通すわけにはゆかぬ 〜〜〜〜〜
くわ ・・・・ ! 紫オバサンは突然でっかい黒い鳥にヘンシンし
空中に舞い上がった。
「 おわ??? あのオバサン・・・ 鳥だったのか??
ん?? たまら ・・・? どっかで聞いたよ〜〜な ・・・?
あ!! さっきの白鳥の湖にいた大カラスだあ〜〜 」
よぉし〜〜 負けるもんか! と ジョーは弓に矢をつがえ黒い鳥を狙う。
「 ・・・ 悪い魔女、覚悟しろっ 」
ヒュッ −−−−− ぎゃあ〜〜〜 ばさばさばさ〜〜〜
ジョーが放った矢は 大カラスの尾を掠めた。
「 ちっ! よ〜し 次は外さないぞ ! 」
次の矢をつがえた時。
「 ああ そんな怖い顔をなさらないで ・・・ わたくしを援けて 」
でっかいカラスは ぽん、と先ほどの紫の美女に戻った。
「 む! 悪い紫の魔女め! だまされないぞ〜〜 」
「 お願い・・・ わたくしは一人ぼっちなのです。
どうか わたくしを助けてください。 ジョー王子さま・・・
わたくしと一緒になってこの森の王となってください〜〜 」
「 はあ??? 」
「 二人でこの森を豊かに繁栄させてゆきましょう
わたくし達の素晴らしい子孫を この森で育ててゆきましょう
ジョーさま〜〜 」
紫の魔女は じりじりと彼に近寄ってくる。
「 ! 寄るなっ! そんな目で見たってダメだっ
ぼくには! 永遠の愛 を誓ったヒトがいるんだからな ! 」
「 え 永遠の 愛 ・・・ ? 」
「 そうさ! ぼくにはフランソワーズしかいない。
ぼくの永遠の愛は フランソワーズのものだ。 」
う っ ・・・・・
ジョーが 永遠の愛 と叫ぶと 紫の魔女は しゅるしゅる〜〜カラスに戻り
逃げて行った。
うう〜〜〜〜 おぼえてろっ ジョー王子 !!!
紫のカラスの捨て台詞は ジョーに聞こえていたかどうか ・・・
なぜなら ―
「 フラン〜〜〜〜〜 今 ゆくよ〜〜〜〜 待っててくれ〜 」
彼は勇気凛々〜〜〜 弓矢で枝を払いつつイバラの森を分け入って行った。
― さて 場所と時間はちょいと移る。
「 ま〜〜 ま〜〜〜〜 姫さま〜〜〜〜 なんてお美しい〜〜〜 」
乳母さんは もう完全に舞い上がっていて ― 実際ちょんちょん飛びつつ
フランソワーズ、 いや オーロラ姫 の周りを回っている。
「 あ あら そう ですか 」
「 ええ ええ。 16歳の輝くオーロラ姫さま 」
「 あ え っと ・・・ 」
だから ・・・ 19歳なんですけど
それに 四人の王子 って だれ?
・・・ う〜〜む 初めて会う人と
パ・ド・ドウ 踊れるかなあ〜〜
「 さあさ 姫さま。 お祝いの宴に参りましょう。
お父上さま お母上さま はもちろん、国中の貴族の方々が
お祝いにいらしてくださっていますよ 」
「 え ・・・ 観客、 おおいのね 〜〜〜 」
「 はい? 」
「 い いえ ・・・ なんでも ・・・ 」
「 ? では おでましくださいませ、 姫様 」
「 はい。 」
きゅ。 フランソワーズは背筋を伸ばし、颯爽と歩き始めた。
ローズ は 舞台では踊ったこと ないけど。
振りは習ったし練習もしたわ。
アチチュード・プロムナード ・・・
しっかりしなくちゃ!
緊張した面持ちで 姫君は居城の大広間の前に立った。
音楽が流れ さ・・・っと扉が開く。
16歳のオーロラ姫の登場だ。
あ。 ピンクのチュチュ。
このポアント、昨日下ろしたのだわ
・・・ !
フランソワーズは にこやかに中央に進み出た。
四人の王子が 彼女を待っている。
― ローズ・アダージオ が 始まった。
Last updated : 05,29,2018.
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************** 途中ですが
もともとは 原作あのお話 の続き?
バレエ・パロディです、わからないトコが
あったら ごめんなさい〜〜〜 <m(__)m>
ローズ・アダージオ、 動画とかで見てね☆